まず、結論から伝えると、すでに開業届を提出している個人事業主が失業手当を受給することはできません。
しかし、個人事業主としての事業実態がなく、開業届が未提出なら、失業手当や再就職手当の受給申請は可能です。
また、開業届を提出はしていても、収益もなく個人事業主として今後厳しいと予想される場合、廃業届を提出すれば、上記の申請が通る可能性はあります。
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新型コロナウイルス感染症等の影響に対応した給付日数の延長に関する特例
コロナの影響により派遣で雇い止め(派遣切り)に遭った場合、特例としてハローワークにて失業手当の申請をすると給付日数の延長を受けられる場合があります。
給付日数を延長してもらうには、離職日の期間と一定の条件を満たす必要があります。
なお、地域によって緊急事態宣言の発令時期が異なりますが、離職した日付を基準に下表の期間で対象かどうか判断がなされます。
離職日 | 対象者 |
---|---|
~令和2年4月7日 (緊急事態宣言発令以前) |
離職理由を問わず、全受給者 |
令和2年4月8日~令和2年5月25日 (緊急事態宣言発令期間中) |
特定受給資格者※1および特定理由離職者※2 |
令和2年5月26日~ (緊急事態宣言全国解除後) |
新型コロナウイルス感染症の影響により離職を余儀なくされた 特定受給資格者※1および特定理由離職者※2(雇止めの場合のみ) |
※1 特定受給資格者…倒産・解雇等の理由により離職を余儀なくされたもの
※2 特定理由離職者①…期間の定めのある労働契約が、更新を希望したが雇止めとなり離職した者
※2 特定理由離職者②…転居・婚姻等による自己都合離職者
給付日数の延長日数は30日と60日のどちらかです。
以下の条件によって、割り振られます。
条件 | 給付日数 |
---|---|
35歳以上45歳未満で所定給付日数270日の方 | 30日 |
45歳以上60歳未満で所定給付日数270日の方 | 60日 |
45歳以上60歳未満で所定給付日数330日の方 | 30日 |
給付日数の延長手続きについては、ハローワークの失業認定日にて行われるため、失業者本人がやるべきことはとくにありません。
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開業届を提出済みの個人事業主が失業保険を受け取れない理由
失業保険の受給条件は、退職理由によって変わりますが、基本的に、加入期間が一年以上あればOKです。
離職日以前の2年間に、被保険者期間(※)が通算して12ヵ月以上あること
しかし、失業手当を受給する前に、税務署へ開業届を提出してしまうと、肩書は個人事業主となるので、失業手当を受け取ることができないわけですね。
失業手当をもらう条件として、完全な失業状態であり、再就職の意思がある者でなければいけないので、個人で事業を始める手続きを終えている方は、コレに当てはまらないわけです。
会社を退職する前に個人事業主の廃業届を提出すれば受給できる
一旦は個人事業主としては撤退をして、再就職に向けて動くのであれば、在職中に廃業届の申請をすれば、失業手当の受給は可能です。
ただし、退職後に廃業届を提出しても、失業した時点ではまだ個人事業主であることから、失業手当の受給は認定されません。
開業届は未提出で、個人事業主か会社員かで迷っているケース
個人事業主を希望する方で、まだ開業届を提出していない理由としては、
- まだフリーランス形態で働くべきか、迷っている
- まだフリーランスで稼ぐ準備ができていない
- まだ売上がない(※または少額)状態だから
上記などが該当するでしょう。
しかし、いくら開業届を提出しておらず、働き方を迷っているとはいえ、失業手当を受給するのは不正ではないのか?と不安になりますよね。
開業届を未提出の場合、ハローワーク職員の見解によって判断は異なるようです。
そこで、実際に筆者が住む新潟のハローワークに問い合わせをしました。
(開業届未提出の)個人事業主の失業手当受給に対するハロワの見解・回答
ここからは、僕が実際に最寄りのハロワに電話をかけて、ヒアリングした回答を元にまとめた文章です。
ハロワが個人事業主を失業者として、失業手当を支給するかどうかは、その実態によって判断が分かれる。
実態とは、個人事業主としてどんな活動をしているのかということ。
たとえば、派遣社員を本業として生計を立てているとしながらも、一日の大半を個人事業の仕事に費やしている環境なら、「実態は個人事業主だ」として、失業給付の申請を却下する可能性はある。また、審査基準としては決して収入金額の大小ではない。
たとえば、自分の名前でお店を立ち上げて利益をあげていたとしても、そのお店とほとんど関わりがなくただ自分の名前を貸しているだけで、実態は友人や親戚が切り盛りしているような状況なら、失業手当が下りる可能性もゼロではない。
まとめると、稼いだ金額はあまり関係がなく、労働時間に着目して判断するといったニュアンスの回答でした。
しかし、所轄によって判断の分かれるところだし、実際に離職票を提出してからでないと、認定されるかどうかは分からないと最後におっしゃっていましたね。
ポイント
※副業などによる副収入の年間所得が20万円以下である場合は、原則、確定申告の義務はありません。なお、「青色申告承認申請書」をハロワに提出する義務もありません。
ちなみに、この場合の副業などによる副収入は雑所得として扱われます。
ケース1.失業手当受給期間中に、起業準備の一環でパソコンを購入した
開業届を出しておらず、事業活動も行っていない状態で、パソコンを購入した時は、個人事業主としての活動には当たらないので手当の不正受給には該当しません。
また、失業手当の受給期間に購入したものであっても、領収書などの必要書類が揃って入れば、開業費として経費計上することは可能です。
ただし、すでに個人事業主として、事業準備やお仕事に時間を多く割り当てている状況であれば、ハロワへ状況や収入金額の報告はしておいた方が安全でしょう。
ケース2.個人事業主であっても会社員なら雇用保険加入は強制
会社員と掛け持ちをしている個人事業主であっても、会社で働く環境が以下の条件を満たせば、雇用保険に強制加入となります。
- 1日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。
- 1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること。
引用元:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147331.html
雇用保険加入のメリットは、主に
「失業手当金」
「教育訓練給付金」
「育児休業給付金」
「介護休業給付金」
などがありますが、たとえば、会社を退職時に、個人事業主として事業収入を得ている状況なら、失業手当を含む上記4つの給付金を申請するのは難しいでしょう。
しかし、在職中に個人事業主としてまだ軌道に乗っていない場合、↑ 上記でも述べたように、廃業届の提出をした方が、退職後の失業手当金をスムーズに受け取ることができます。
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ケース3.開業届未提出なら退職後に再就職手当金の申請を
「開業届が未提出の状態」あるいは「在職中に廃業届を提出している状態」
個人事業主やフリーランスを目指す方は、このどちらかに該当すれば、再就職手当を受給できる可能性があります。
再就職手当の受給条件
給付制限期間を含めた受給期間のうち、再就職する日の1日前までに、受給期間の残り日数が1/3以上かつ45日以上残っている
派遣社員は退職理由によって失業手当金受給スタート時期が変わる
派遣で、たとえば次の仕事が紹介されず、失業状態になった場合、下記の条件を満たせば失業手当金を受給できます。
「特定受給資格者」又は「特定理由離職者」については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある
派遣で次の仕事が決まらなかった場合、2番目にある「特定理由離職者」に該当します。
しかも、自己都合退職となると、3ヶ月の待機期間を経て受給がスタートしますが、その制限もなくなる特典があります。
ポイント
ただ、派遣で働いていて失業した人全員が「特定理由離職者」と認定されるわけではありません。
たとえば、期間満了時に、契約の延長を打診されたのにも関わらず断っていたり、別の仕事を紹介されたけど断ったなどの経緯があると、派遣会社から発行される離職票に記載される退職理由が「自己都合」とされる可能性があります。
まとめ
まとめると、開業届を提出しておらず、実態は派遣スタッフを本業としている個人事業主であれば、「失業手当」や「再就職手当」を受給できる可能性はあるといえます。
ただ、申請する際に気をつけるべきポイントがあります。
自営や請負により事業を始めているにもかかわらず、「失業認定申告書」にその事実を記さず、 偽りの申告を行った場合
この「事業を始めている」というところが、文中で紹介したハロワ職員が言う「ハロワの実態把握」に当たるのでしょう。
個人事業主としての実態を正直に申告すれば、判定はあくまでもハロワが行うので、何も問題はありません。
もし、ハロワへ申告をせず、不正受給となると、受け取った金額の3倍のお金を返済する義務が課せられます。
ただ、本記事で取り扱っている失業手当の申請が可能な個人事業主は、あくまでも見習い的なポジションにいる人です。
個人事業主やフリーランスとして事業を始めるならば、開業届と青色申告承認申請書を早期に提出して青色申告者になることをオススメします。
なぜなら、最大65万円の青色申告特別控除を受けることができ、同一生計の配偶者への給与を専従者給与として支払うなど節税にも繋がります。
個人事業主やフリーランスとして、事業を継続的に行う予定であれば、開業届と青色申告承認申請書を早めに提出した方がお得になります。
個人事業主が派遣を利用するメリットや掛け持ちで働くやり方とは?詳細はこちら➡ 派遣と個人事業主
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