同一労働同一賃金

派遣社員にかかわる法律について

同一労働同一賃金への各派遣会社の対応は?派遣切りはあるのか?

2020年3月17日

働き方改革の一環として、同一労働同一賃金政策がいよいよ、2020年4月1日より本格的にスタートします。

具体的に何が変わるのかというと、同じ環境・条件で働く労働者は、正規・非正規問わず待遇の格差をなくそうという、働き方改革の一環として施行されます。

さらに掘り下げると、派遣の交通費や退職金といった福利厚生面の適用をしたり、基本給の引き上げなどが実施されます。

ただし、あくまでも派遣先の正社員と同等の働きや労働環境であると認定された場合のみです。
また、労使協定方式といって、厚労省が定めた待遇基準に合わせた労使協定を結び、働く場合もあります。

ここでは、同一労働同一賃金についての概要をまとめて、さらに各大手派遣会社はどのように対応しているのかを調べました。
ご参考になれば幸いです。

同一労働同一賃金とは?派遣とのかかわり

「同一労働同一賃金」とは、同じ仕事内容・環境で働く従業員は、正社員と同等の待遇にしましょうという政策です。

「同一労働同一賃金」政策は、労働者派遣法とパートタイム・有期雇用労働法の2つの法律が改正されたため、対象者は派遣スタッフ・アルバイト・パート・契約社員すべての非正規雇用者となります。

ただし、大手企業は2020年4月1日から、中小企業は2021年4月1日から施行されます。
中小企業かどうかは、下表の「資本金or出資金の総額」または「常時雇用する従業員数」どちらかの条件が当てはまるかどうかで判断されます。

業種 資本金or出資の総額 常時雇用する従業員数
製造業・建設業・運輸業等 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
小売業 5000万円以下 50人以下

出典:中小企業の定義について | 中小企業庁

では、派遣スタッフはこの政策によって何が変わるのでしょう?

派遣の場合、派遣元会社が「派遣先均等・均衡方式」または「労使協定方式」のいずれかを選択して、対応することが義務付けられました。

派遣先均等・均衡方式

「派遣先均等・均衡方式」とは、派遣先企業で働く正社員の待遇を基準として、派遣スタッフの待遇を決定する方式です。

しかし、この「派遣先均等・均衡方式」では、派遣スタッフが大手企業の派遣先で高時給で働いた後、中小企業の派遣先へ移ったときに収入格差が生まれるなど、問題があります。

また、そもそも社内従業員に支払う給与データを、社外に無償提供する派遣先企業がどれだけあるのかも疑問です。

派遣先社員の給与額や賞与・手当金額を基準にするとなれば、派遣料金が値上がりとなる可能性があります。

永井
実際にSNS上の口コミを見ても、派遣料金が上がるなら取引はしないと言われた派遣元もあるようです。

最近、パソナやパーソルテンプスタッフといった大手派遣会社が、派遣先企業へ1~2割の派遣料金値上げを要求したとニュースになっていました。
大手は、このような交渉ができるだけの地盤があるかもしれませんが、ほとんどの派遣会社はそうはうまくいかないでしょう。

一番の問題点は、派遣元会社が「派遣先均等・均衡方式」を派遣先企業へ提案したら、他社へ乗り換えられてしまったり、派遣スタッフの人材オーダーをストップされてしまうといったリスクがあることです。
派遣先企業は、派遣元会社にとってクライアントなので、立場的に強く出れない事情があります。

この問題を解決するために、特例として「労使協定方式」の採用も認められています。

労使協定方式

「労使協定方式」とは、同じ地域で働く同一職種の正規労働者の平均賃金を元に、派遣スタッフの待遇を決定する方式です。

前述した理由から、多くの派遣会社は、「労使協定方式」により対応する流れになっています。

派遣スタッフの待遇は、派遣会社と労使(※労働者の代表者)との話し合いの末、取り決めがなされます。

派遣の給料はどう変わる?

先ほど、ほとんどの派遣会社が「労使協定方式」を選択することになると解説しました。

では、「労使協定方式」ではどのように給料が決まるのか?が気になりますよね。
給料は、以下の計算式によって算出されます。

「職種別の基準値」×「能力・経験調整指数」×「地域指数」

職種別の基準値

「職種別の基準値」とは、厚生労働省職業安定局長が定める、職種ごとの平均賃金のことです。

資料を見ると、職種ごとに基準値(初期値)となる時給額が設定されていますが、派遣先の業務がぴったり当てはまらないケースもあるため、あくまで上述した時給額は参考程度に捉えて、労使(※労働者の代表者)との話し合いで決定するケースもあります。

能力・経験調整指数

「能力・経験調整指数」とは、勤続年数が1・2・3・5・10・20年ごとにスキルや能力値を基準に掛け合わせる指数のことです。

雇用主である派遣会社は、就業規則に則り、職種の難易度やレベルによって評価を行い、決定します。

地域指数

地域指数とは、47都道府県・市区町村ごとに割り振られた指数のことです。
首都圏などは高く、郊外は低くなります。

参考資料:平成30年度職業安定業務統計による地域指数

派遣にどんなメリットがあるの?

今回の派遣法改正に合わせて、社内体制を改革している大手派遣会社を利用したと仮定すれば、基本的に派遣スタッフにとってマイナスに働くことはなさそうです。

時給アップする可能性がある

正社員よりも仕事をしているにも関わらず、派遣だからという理由で賃金が低い方は、今回の派遣法改正によって収入がアップする可能性があります。

今回、派遣会社と労使との話し合いを元に決定される職種ごとに定められた賃金は、その地域で働く企業の従業員が稼ぐ給料を元に算出した平均になります。

ただし、派遣元は平均賃金よりも現状の賃金が上回っているからといって、時給を下げる処置は禁止されています。

すでに派遣先で働くスタッフは、派遣会社からの再評価を受けることや、交通費や退職金、各種手当の支給によって、賃金アップが実現する可能性はあります。

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実績のある優良派遣会社を見つけやすい

今回の派遣法改正に対応できず、新基準により算出された賃金の支払いができるだけの資本力がなく、倒産する企業は増えると見られています。

2020年4月以降も生き残れる派遣会社は、新体制となっても多くの派遣先とのパイプが残されているため、たくさんの求人掲載がされる期待が持てます。

これまで曖昧なルールだった派遣元の就業スタッフに対する教育義務も徹底されますし、すでに各大手派遣会社はスキルアップ研修制度の充実化を図っています。

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また、正社員と派遣との福利厚生の格差も解消されるため、これまで派遣だからと利用させてもらえなかった施設を利用できるようになります。

待遇について説明責任を問うことができる

これまで、派遣会社から紹介されて派遣先企業で働きだすと、派遣会社の担当者とは疎遠になってしまい、自分の評価が分からず、孤独になってしまう問題点がありました。

今回の派遣法改正によって、派遣スタッフは自分の待遇について派遣会社へ説明を求める権利を得ることができました。
この権利によって、今まで曖昧になっていたことや不安なことを相談しやすい環境になります。

派遣スタッフからみるデメリット

待遇改善がまったくされない可能性も

今回の同一労働同一賃金のキモは、同じ働きをする正社員と同等の扱いをしましょうというのがコンセプトです。

これは、見方を変えれば、派遣先企業側が正規と非正規の違いを明確に示すことができれば、現状のまま何も変わらないことを示しています。

たとえば、「正社員は派遣と同じ仕事内容ですが、クレーム対応も担当しているため、心身共に負担が大きい」などと言っておけば、問題は起こらないわけです。
そうなると、派遣社員の業務内容はより限定的になり、やりがいやキャリアアップの面から見ても、厳しい環境になるでしょう。

時給を下げて調整される危険性も

大手派遣会社のような資本力がない中小派遣会社は、これから退職金や交通費、各種手当金の支給をすると、経営が立ち行かなくなるところもたくさん出てきます。

「労使協定方式」で決まる職種ごとの賃金を下回らなければ調整は可能ですから、時給を下げて手当金を支給する調整をすることで、結果的に今までと変わらない給料となる可能性があるでしょう。

たとえば、交通費の支給分を捻出するために、時給額を100円下げられてしまった場合、収入額は変わらないどころか、残業をすれば今までより稼ぎが減ってしまうデメリットが生じます。

派遣切りが増える可能性

現状働く派遣スタッフ、これから働くスタッフ含め、派遣先が非正規との待遇格差を改善するくらいなら、派遣を切って使わないと結論付ける可能性もあります。

今後派遣スタッフを使うことは、給料だけの問題ではなく、研修制度や福利厚生面含めた待遇をすべて公平にする必要があるため、派遣先にも大きなリスクが課せられることになります。

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各大手派遣会社の対応は?

ホームページ上で同一労働同一賃金について説明している派遣会社は、ほぼすべて「労使協定方式」を選択しているようです。

ただ、今回の法改正に関する具体的な説明を自社ホームページ上でしている派遣会社は、2020年3月時点で、アデコやテンプスタッフを除いて今のところ見当たりません。

永井
職種ごとに定める賃金や、個人の能力別に評価する手当、地域ごとに設定する賃金は、それぞれ具体的な金額を掲載している派遣会社は、見つかりませんでした。

テンプスタッフ

  • テンプスタッフは「労使協定方式」を選択
  • パーソルテンプスタッフのルールに基づき、派遣スタッフの登録住所から就業先までの交通費を支給
  • 有給休暇を利用した半休制度の導入。
  • 勤続3年以上の派遣スタッフを対象に、慶弔休暇の導入・慶弔見舞金の支給

もっと詳しく見てみる ↓

アデコ

  • アデコは「労使協定方式」を選択
  • 社内規定に基づき、1か月電車定期代の支給スタート
  • 有給休暇を利用した半休制度の導入。
  • 健康診断受診項目「乳がん検診」「子宮頸がん検診」の追加※36歳以上
  • 結婚祝い金・5万円※アデコで1年以上雇用保険に加入している方が対象
  • 出産祝い金・5万円※アデコで1年以上雇用保険に加入している方が対象
  • 本人弔慰金
  • 災害見舞金※会社判断による
  • 忌引休暇
  • 転勤休暇
  • 被災地休暇
  • 永年勤続表彰
  • 裁判員制度対応時休暇
  • JTBベネフィット「えらべる倶楽部」の導入…育児・介護・健康・スキルアップ・娯楽等にかかわる福利厚生サービスの充実化

もっと詳しく見てみる ↓

同一労働同一賃金に対する派遣スタッフの口コミ情報

同一労働同一賃金について、もうすでに働いている派遣スタッフは、派遣会社の担当から説明を聞いている人もいれば、2020年3月中旬の今となってもまったく説明を受けていない人もいるようです。

ここからは、ニュース記事やSNSから、有力と思われる情報について抜粋したものをシェアします。

非正規社員のうち「4月からの契約内容に納得のいく変更があった」(12%)とする人は1割強にとどまった。対照的に「納得のいかない変更があった」(11.5%)とした人も1割強。最多は「変更がなかった」(38.7%)という声だった。

引用元:https://news.careerconnection.jp/?p=89492

変更がなかったと回答した方が38.7%ともっとも多い結果だったようですね。
やはり、正社員との区分けをはっきりと決めた企業が多いのかもしれません。

潤沢な資金のある大企業となれば、子会社設立による抜け道も考えられるんですね。

永井
長期的に見れば、離職率が高くなりそうな対策に思えますが…どうなんでしょう。

筆者も個人的にこの方のご意見に賛成です。

そもそも違うワークスタイルなのに、無理やり同じステージに引き上げてる感がしています。
あまり正社員経験がない派遣スタッフは、具体的に自分と何が違うのか理解していないケースも多いと思います。

やはり、時給は変わらない派遣スタッフは多いようですね。

交通費が増えて税金が増えると口コミがありますが、交通費には税金がかからないので、どこか勘違いなさっているのかもしれません。
時給が下がったんでしょうか?

勤続10年だから昇給するのではなく、10年の間で何を身につけて貢献してきたかが評価基準になります。
ダラダラ長く働いていれば昇給することはありえませんからね。

とはいえ、派遣元の「こんなのあるのはおかしい」という説明は確かにおかしいですね。

問題を起こすイコール切られる不安が付きまとう派遣スタッフは、自分の意見を言うなどということはできないんですよね。

未だ説明されていないケースもあるのですね。
同一労働同一賃金の内容を見ると、派遣スタッフから求めがあった場合に説明義務が生ずるとあるので、逆に言えば聞かれなければ説明しない気なのかもしれません。

ホントこれですね。
派遣スタッフにとって、雇用が減って選択肢がなくなっていくことが、何よりの恐怖です。

雇用環境が違うのに、仕事内容が一緒というだけですべての待遇を公平に、というのは、私も無理がありすぎると思っています。

それなら、正社員がもっと増えるように、職業訓練といった機関をもっと企業と結びつけて転職しやすくなるような仕組みづくりをした方が良いと思います。

派遣で問題が起きても、罰則がなければルール違反をする悪徳業者はなくならないですし、裁判を起こしてまで戦ってもデメリットが多いため、ほぼすべての派遣スタッフが泣き寝入りするしかないんですよね。

そもそも、同一労働同一賃金の問題とは、派遣先企業と派遣スタッフとの問題であって、政府が介入してルールを押し付けることがとても違和感を感じます。

ある派遣スタッフは、社員だけが自由に使える有給を使いたいだけかもしれないし、あるスタッフは、社員割引で社食を食べたいだけかもしれません。

永井
待遇イコール給料をアップすれば解決!みたいな風潮がおかしいと思いますね。

それほど、人は単純じゃありません。

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