本記事では、派遣スタッフに関わる3年ルールと、非正規雇用者すべてに該当する5年ルール(無期転換ルール)との違いと、2018年問題について詳しく解説いたします。
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派遣3年ルールの抜け道についての詳細は、下記の記事をご参照ください。
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派遣の3年ルールとは
派遣の3年ルールとは、2015年4月1日より派遣法によって定められた法律です。
派遣の3年ルールには、「事業所単位」「個人単位」それぞれに期間制限が設けられています。
まずは、「事業所単位」について、見ていきましょう。
まず、派遣先企業が「派遣スタッフA」を受け入れて3年経過したとします。
その2年後に「派遣スタッフB」も受け入れた場合でも、「派遣スタッフA」を受け入れてから3年後に一度3年ルールの期間制限に引っかかります。
派遣受入開始から3年後の満了日を抵触日と呼びます。
その後、労働組合から意見聴取をして、過半数以上の賛成が得られたら、新たに最長3年間派遣スタッフを受け入れることができます。
ただし、「派遣スタッフA」は3年経過しているため、新たなスタッフを派遣しなければなりません。
「派遣スタッフB」は引き続き働けますが、スタートから1年勤務しているため、2年後には抵触日を迎えることになり、継続勤務はできません。
次に、「個人単位」の派遣3年ルールについて、解説します。
派遣先の「営業課」に配属されて3年経過した場合、抵触日以降は働けなくなります。
ただし、上の図のように「総務課」へ異動すれば、継続して同じ派遣先企業で働き続けることができます。
派遣先企業内で部署異動することで、派遣3年ルールをかいくぐるやり方は、抜け道として周知の事実です。
抜け道は他にもあります。詳しく知りたい方は、下記の記事もご確認ください。
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なお、専門26業務といわれるお仕事は、これまで期間の定めはありませんでしたが、残念ながら今回の3年ルールによって撤廃されることになります。
派遣の26業務
ソフトウェア開発/機械設計/放送機器等操作/放送番組等演出/事務用機器操作/通訳、翻訳、速記/秘書/ファイリング/調査/財務処理/取引文書作成/デモンストレーション/添乗/建築物清掃/建築設備運転、点検、整備/案内・受付、駐車場管理等/研究開発/事業の実施体制の企画、立案/書籍等の制作・編集/広告デザイン/インテリアコーディネータ/アナウンサー/OAインストラクション/テレマーケティングの営業/セールスエンジニアの営業、金融商品の営業/放送番組等における大道具・小道具
出典:政令で定める26業務
3年働いた派遣スタッフへの措置
2018年4月からは、同じ派遣先で3年働いた派遣スタッフに対して、大まかに以下の4つの措置がとられることになりました。
- 紹介予定派遣を活用した派遣先企業の受け入れ
- 新たな派遣先の紹介
- 派遣元の常用型派遣(無期雇用型派遣)による雇い入れ
- その他安定した雇用の継続を図るための措置
資本力のある大手派遣会社は、3年ルールの対策として自社と無期雇用契約を結び、常用型派遣として雇い入れるやり方をとっているケースが多いです。
逆に言えば、実績の少ない中小派遣会社に在籍していると、新しい派遣先の紹介や自社雇い入れによるサポートが難しいとされています。
よって、これから派遣で働こうと考えている方は、派遣の3年ルールを踏まえて、実績の高い大手優良派遣会社に登録した方が安心できるといえるでしょう。
詳細はこちら
5年ルールとは
5年ルールとは、無期転換ルールとも呼ばれるもので、2013年4月1日より適用されています。
この法律は、派遣を含む有期雇用労働者すべてであり、5年の間に一度でも契約更新がされていて、かつ「次回の契約で通算5年間の雇用が決定する」ときに対象となります。
派遣の3年ルールとの違いは、以下の通りです。
ポイント
- 3年ルール…有期雇用契約で働く”派遣労働者が対象”
- 5年ルール…有期雇用契約で働く”労働者すべてが対象”
また、5年ルールは労働者に無期転換申込権が発生するのが大きな特徴です。
無期雇用申込権をもって雇用先に申請すれば、無期雇用で雇い入れてもらうことができます。
それでは次に、無期雇用申込権が発生する条件を上の図を例に説明します。
仮に1年契約を繰り返しながら働いた場合、6年目の雇用契約を結ぶときに通算5年以上の就業実績が確定するので、無期転換申込権が発生します。
3年契約で働く場合は、4年目に雇用契約を結ぶ段階で通算5年以上の就業が確定するため、無期転換申込権が発生します。
上記で挙げた例のように、通算で5年以上の就業が確定した段階で、労働者は無期雇用転換への申し込みができる権利を有します。
なお、5年ルールの適用対象者が派遣スタッフだった場合、雇用主は派遣先ではなく派遣会社となります。
5年ルールの問題点
5年ルールにより、有期雇用から無期雇用へ切り替わることで、契約更新時にクビを切られる不安からは解放されるメリットは大きいでしょう。
しかし、無期雇用へ転換したからといって、社内の正社員従業員と同等の給料やボーナス、福利厚生が受けられるかどうかは企業のさじ加減であり、不安要素といえます。
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この問題に、政府は同一労働同一賃金を掲げることで、正規と非正規雇用の格差をなくそうとしています。
しかし、人件費の高騰を抑えたい企業側からすれば、無期雇用するくらいなら通算5年に達する前に雇い止めをすれば済む話です。
対応できるだけの体力がある日本企業がどれだけいるのかを考えると、5年ルールに安易に乗っかることは得策とは言えないかもしれません。
【まとめ】3年ルールと5年ルールの比較表
無期雇用と言っても極端な話、最低賃金と労働法に順守していれば派遣時に条件以下になってしまう可能性も十分あり得ます。
対象者 | 適用条件 | ルール内容 | 適用日 | |
---|---|---|---|---|
3年ルール | 派遣スタッフ | 通算3年の有期雇用契約 |
|
2015年4月1日より |
5年ルール | 有期雇用契約者 | 通算5年の有期雇用契約 | 無期雇用契約への転換
※本人の申し出があれば、ルールが適用される |
2013年4月1日より |
2018年問題とは
2018年問題とは、3年ルール・5年ルールの初の適用者が出てくるのが、どちらも2018年に重なることです。
企業側からすると、直接雇用となれば人件費コストが上がるのを懸念して、雇い止めや派遣切り等の処置をとる事例が、後を絶たないでしょう。
政府は、2018年問題の対応策として、「雇い止めの法理」「不合理な労働条件の禁止」を公言していますが、あいまいでどうとでも解釈ができる法律である以上、非正規の不安定な雇用環境が改善されていく期待は薄いと私は見ています。
雇い止めの法理とは
(派遣先含む)勤務先企業が、従業員の有期雇用から無期雇用へ転換することを避けるために、雇用期間満了を理由に雇い止めをする行為を禁止する条文。
不合理な労働条件の禁止とは
(派遣先含む)勤務先企業が、有期契約労働者と無期契約労働者(正規従業員)との間に、不条理な労働条件の格差をつけることを禁止する条文。
日本経済が順調に推移していることもあり、取って代わる雇用が生まれていたのかもしれません。
たとえば、ネットニュースでは以下のような雇い止め事例が報告されています。
2017年10月、理化学研究所にある研究室でアシスタントとして働く女性は、無期雇用に転換する試験を受けた。
1年契約を更新しながら、理研で十数年働いてきた。だが2016年に新たなルールができて、この試験に受からないと、3月で雇い止めになる。
結果は不合格だった。「選考委員会において慎重に審査いたしました結果、貴意に添いかねる結果となりました」などと書かれたメールを受け取った。
その日のことは、あまり覚えていない。
結果を知って急ぎ足で自席に来た上司の、途方に暮れた顔だけよく覚えている。顔が「うそだろ」と言っていた。
「ご迷惑をかけてすみませんでした」と答えるのが精いっぱいで、涙がこぼれて言葉にならなくなった。
引用元:https://www.huffingtonpost.jp/2018/01/19/labor2018_a_23337901/
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