「稼ぐ」個人事業主にはある共通点が?派遣と掛け持ちするメリット
総務省の発表している労働力調査の結果によると、2003年から2013年にかけての正規・非正規雇用者の人口推移に関しては、「正規」は減少傾向にあり、「非正規」は増加傾向にあります。
そして個人事業主の人口においては、減少傾向にあるそうです。
(ソース:2 自営業の減少とその背景 (1)自営業率の動向 | 総務省)
失敗せずに本業を軌道に乗せるには、その下積み期間として副収入源の確保が必要となるでしょう。
当サイトにおいては、色々な記事で「個人事業主は派遣と相性が良い」と言っています。
派遣で働いていると実際に起業家の方と良くお会いしますし、派遣のしくみやメリットを考えてみると、そこには個人事業主が派遣に向いていると言える理由があるのです。
では、ここからその理由を一つずつ挙げて説明していきます。
この記事の監修者
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派遣は個人事業主であっても登録できる
派遣には、主に以下の働き方があります。
- 登録型派遣…派遣会社と有期雇用契約を結び、派遣先で働くスタイル
- 紹介予定派遣…派遣会社と有期雇用契約を結び、派遣先で1~(最大)6ヶ月間働いた後、双方の合意があれば直接雇用が成立するスタイル
- 常用型(無期雇用)派遣…派遣会社と無期雇用契約を結び、派遣先で働くスタイル
個人事業主として、掛け持ちで働きたい方の多くは、企業と無期雇用契約を結ぶことは望まないでしょう。
つまり、個人事業主が利用するのは、登録型派遣となります。
個人事業主が登録型派遣として働くなら、開業届を税務署に提出していても、他に本業があることを理由に、登録を断られることはまずありません。
派遣登録の一般的な流れは、以下になります。
step
1Web上からオンライン登録(仮登録)をする
step
2派遣会社の担当者(※コーディネーター)から電話などでヒアリングをされる
step
3最寄りの支社へ来社して、コーディネーターとの登録面談を受ける
最近では、コロナ禍の問題で来社登録は控えてオンライン登録のみを推奨する派遣会社が増えてきています。
来社登録の場合は、希望する仕事内容や、働ける期間・時間帯・曜日などの打ち合わせを、面談のときに行います。
条件が合えば、その場でお仕事が決まることもありますが、登録のみで終了した場合、その後は定期的に条件に合う求人があれば、メールや電話などで紹介してもらえるようになります。
個人事業主が派遣社員と掛け持ちするときに廃業手続きは必要ありません
個人事業主が派遣で働くときは、なかなか収入が上がらず、やむを得ず一時的に利用したいケースが多いと思います。
個人事業主が、すでに税務署へ開業届を提出している場合、派遣登録や派遣社員として働くときに、廃業届を提出する必要はありません。
仮に、数年は個人事業主としてではなく、派遣社員として生計を立てていくとしても、廃業届の申請をしていないことでペナルティを受けることはないです。
まだ開業届の提出をしていない方へ
しばらくは、派遣社員などで生計を立てていく予定である個人事業主なら、開業届の提出は見送った方が賢明です。
開業届の提出をしてしまうと、失業時に申請する失業給付を受け取る権利が消失してしまうためです。
しかし、作業比率(時間)によっては自身がどちらの仕事がメインなのか決めなくてはいけませんので、派遣会社側と事前に確認をしておいた方が良いでしょう。
社会保険や厚生年金の加入手続きは派遣会社に一任しておけばOK
個人事業主であっても、加入条件を満たせば、国民健康保険から社会保険、国民年金から厚生年金への切り替え手続きは派遣会社にやってもらえます。
以下の条件を満たす派遣社員は、任意ではなく強制加入となるので、自分で保険や年金を選択することはできません。
社会保険や厚生年金の加入条件
契約期間
2か月以上の雇用見込みがある
労働時間
1日または1週間の所定労働時間が、勤務する事業所で同じような業務をしている一般従業員の概ね4分の3以上の場合。
労働日数
1ヶ月の所定労働日数が、同一業務を行う一般従業員の概ね4分の3以上の場合。
有期雇用契約の満了と共に、派遣会社との雇用契約が終了した場合、今度は、社会保険から国民健康保険、厚生年金から国民年金への切り替え手続きは、住まいの自治体に「自分で」申請する必要があります。
社会保険の方が、保険料や福利厚生面で優遇されるので、個人事業に支障がないなら加入した方がお得です。
個人事業主が本業に支障が出ないように働くポイント
個人事業主が副業を検討するとき、様々な事情があるかと思いますが、共通しているのが、本業に支障が出ないように働きたいことではないでしょうか。
派遣求人の紹介を受ける場合、「来月から3ヵ月だけ働きたい」「平日だけ働きたい」といった希望を伝えれば、本業に支障が出ないよう働ける環境を作れます。
半年以上の就業実績があれば、有給を利用しながら休みを入れていくやり方もオススメです。
ただし、希望条件が増えるほど、条件にマッチした求人の数は少なくなります。
僕の経験からいいますと、希望条件を伝えるときは、
「〇月から〇月までは、本業が閑散期で身体が空くので、仕事を紹介して欲しい」
「本業のクライアントとの兼ね合いで、週末土日は動けなくなるので、平日に働きたい」
という風に、事情を素直に伝えたうえで希望条件を提示した方が、求人紹介をしてもらえる可能性はアップします。
なぜなら、派遣会社側としても、細かく希望条件を伝えてくる派遣社員に対しては、「ワガママなタイプ?なら、紹介しても長続きしないかも」と不安視するためです。
横柄な態度でお願いをするのではなく、自分の事情を話したうえで、働く意欲がある姿勢を見せたほうが、うまく仕事にありつけます。
日雇いのお仕事と掛け持ちをする場合
日雇いの派遣求人に関しては、以下の要件を1つ以上満たしていないと、働くことができません。
- 60歳以上
- 雇用保険の適用を受けない学生
- 年収500万以上
- (世帯収入が)500万以上で世帯主でない者
ただし、以下に該当する業務であれば、日雇いで就業可能です。
日雇い派遣禁止の例外業務
ソフトウェア開発/機械設計/事務用機器操作/通訳、翻訳、速記/秘書/ファイリング/調査/財務処理/取引文書作成/デモンストレーション/添乗/受付・案内/研究開発/事業の実施体制の企画、立案/書籍等の制作・編集/広告デザイン/OAインストラクション/セールスエンジニアの営業、金融商品の営業
個人事業主と派遣の違い
個人事業主と派遣は、下表にある「契約先」「保険・年金」「収入」「年末調整・確定申告」の項目で、違いが出てきます。
項目/雇用形態 | 個人事業主 | 派遣社員 |
---|---|---|
契約先 | 企業 | 派遣会社 |
保険・年金 | 国民健康保険・国民年金(国保) | 雇用保険・健康保険・厚生年金(健保) |
収入 | 成功報酬 | 時給 |
年末調整・確定申告 | 自分で行う | (給料分の収入は)派遣会社にやってもらえる |
契約先
個人事業主は、複数のクライアントから仕事を受注することができますが、派遣会社は複数社へ登録はできても、働くとき選べるのは一社のみです。
ただし、社内規定上禁止されていなければ、複数の派遣会社を使って掛け持ちで働くこともできます。
保険・年金
個人事業主は、国保へ加入する義務があり、収入額に応じて保険料が高くなっていきます(年金は一律)。
派遣社員は、条件を満たせば健保へ加入できますし、保険料は雇用主である派遣会社と折半ができます。
収入
個人事業主は、業務量や就業時間のリミットがないので、たくさんお仕事をして収入をアップさせることができます。
派遣社員は、高時給で働けるものの、就業時間に限界があるため、月ごとに稼げる金額は一定です。
年末調整・確定申告
個人事業主は、給料制ではないため、毎年3月に自分で確定申告を行います。
派遣社員は、メインで働いた派遣会社へ年末調整をお願いしておけば、確定申告もすべてやってもらうことができます。
個人事業主が派遣会社を利用するメリット
ここでは、個人事業主が派遣を利用する5つのメリットについてご説明します。
目次
個人事業主は派遣会社から高く評価してもらえる
個人事業主でいるということは、派遣会社側からすると、就業意識の高い人材に映ります。
派遣会社が一番警戒していることは、せっかく仕事が決まっていざ派遣スタッフが働き始めたときに「契約期間中に辞めてしまう」ことです。
派遣社員が辞めると、派遣先へ代わりの労働力を提供しなければいけませんし、その責任は、雇用主である派遣会社側に発生します。
派遣会社は、派遣登録の面談や仕事紹介時の顔合わせなどで、派遣スタッフが本当に派遣先で仕事が勤まるのかどうか慎重に見極めようとします。
ですので、普段は個人事業を営む人材となると、「仕事の厳しさ」や「誠実さ」は備わっていることが最初から期待できるので、高く評価してもらえるというわけですね。
ポイント
ただし、これまで一人で自由だったのが、上司や周りの人間関係を考慮しながら働く環境へ変わるため、横柄な態度を取って余計なトラブルを起こさないよう気を付けましょう。
給与所得控除が適用されるので節税対策に
個人事業主として活動し、収入が増えていくと所得税や住民税の負担はどんどん大きくなってしまいます。
給与等の収入金額 ※源泉徴収票のA欄にある「支払金額」 | 給与所得控除額 |
---|---|
1,625,000円以下 | 650,000円 |
1,625,000円超 1,800,000円以下 | 収入金額×40% |
1,800,000円超 3,600,000円以下 | 収入金額×30% + 180,000円 |
3,600,000円超 6,600,000円以下 | 収入金額×20% + 540,000円 |
6,600,000円超 10,000,000円以下 | 収入金額×10% + 1,200,000円 |
10,000,000円超 15,000,000円以下 | 収入金額×5% + 1,700,000円 |
15,000,000円超 | 24,500,000円(上限) |
実は、派遣など従業員として会社からもらった給与というのは、最低でも65万円の控除を受けられる大きなメリットがあります。
派遣で働くということは、派遣会社と雇用関係を結び会社員となります。雇用期間中は普通の会社員と同様に給与が支払われるので、給与所得控除の対象となります。
社会保険に加入することができる
個人事業主のままでは加入できない社会保険に入れるメリットは大きいです。
国民健康保険料と社会保険料は、(※地域差はありますが)それほど格差がない上に、ケガや病気で入院したときに、給料のおよそ2/3のお金を受け取ることができる傷病手当金や、将来受け取れる年金額のアップ、障がいを追った時に受け取れる障害年金制度も手厚くなります。
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有期雇用契約だから辞めやすく調整がしやすい
安定した収入を求めるのであれば、有期雇用契約は不向きな雇用形態です。
しかし、個人事業主の場合、それが逆にメリットとなります。
通常、派遣のお仕事は長期・短期を問わず1~3ヶ月スパンで契約更新を繰り返しながら働くことが多いです。
仮に半年や一年といった長期の仕事に就いたとしても、契約更新の時期がきたら更新か終了かの選択権があります。
よって、一定の契約更新時期のタイミングで、辞めるか続行かの判断ができるので、本業との調整もしやすいでしょう。
特定のスキル習得や人脈を広げることができる
派遣会社の選び方は人それぞれですが、大手派遣会社ともなるとたくさんの求人を取り扱っています。
前から気になっていた分野で未経験から期間限定でチャレンジするなど、直接雇用では難しいようなことでも派遣なら実現できることがあります。
本業で必要な知識やスキルを派遣から身につけていくといったこともアリでしょう。
また、色んな派遣先で働くことによって、そこで得た人脈を通じて、今度は個人で仕事を請け負うケースも期待が持てます。
特にエンジニアは「営業や価格交渉が苦手」という方もいらっしゃいますので、派遣会社のお仕事をメインにしている方はよく見かけます。
独立をされたばかりの方は派遣会社の営業機能を上手く活用されて見るのも良い手段です。
個人事業主におすすめの派遣会社
個人事業主にとって利用しやすい派遣会社はとくにありませんので、基本的に自分が得意な分野に強いところを選んで登録するのがおすすめです。
たとえば、フリーランス形態で事業をする方の多くは、IT系(※ITフリーランス)のお仕事を得意としていると思います。
ITフリーランスが登録すべき派遣会社は、一般職を取り扱うところではなく、専門職を取り扱うタイプです。
以下のコンテンツをご参考にして頂ければと思います。
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専門職ではなく、事務職や販売・営業などの一般職を希望されるなら、大手派遣会社を推奨します。
大手の方が取り扱う求人数がとても多くなりますし、全国各地にたくさんの支店がありますので、誰もが利用しやすいです。
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補足:確定申告について
一年間の間に働いた派遣会社から、年始の2月頃には源泉徴収票が自宅に送られてきます。
確定申告の際は給与所得分も忘れずに記載しましょう。
個人事業主をターゲットにした、営業+経理代行を専門に行う企業が増えています。
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パソナは、月刊ビジネス主催の派遣スタッフ満足度調査で、「所属している派遣会社を友人に勧めたい」7回連続で1位を受賞した実績があります。
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